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安比派詩集   丹青老人詩
丹青老人詩文

   丹青丘居(たんせいきゅうきょ) 

ここ丹青(たんせい)の地 華胥(かしょ)氏の国にならう

来訪告げし者 照顧(しょうこ)脚下(きゃっか)せよ

門前にただ独り立禅(りつぜん)

石段(せきだん)の一を見つけよ

喜怒哀楽の(ころも)を脱ぎ捨て、

無為自然の黒き土で
その足を暖めよ

富める者は、

財貨を惜しまず片碗(へんわん)を求め

貧しき者は、

天地の間 律を知り感謝せよ

強き者は高き山に登りて後に下り

弱き者は山の高きを忘れ 

その一歩を進めよ

(けん)なる者は知を捨て 

その(けん)を取り去り

()なる者は呵呵(かか)として

その徳を用いよ

才ある者はその矛先を錆らせ 

長寿の深きを知り

(どん)なる者は才ある者の生を助け

国をおさめよ

ここ丹青の地 華胥(かしょ)()の国にならう

深山幽谷 四季のうつろい

まさに妙なり

春風(しゅんぷう) 山桜の白きは葉の緑に和し

散り往く(さま) (くう)文様
(もんようはな)
()
えんとす

 

裏山の山菜 無尽蔵にして

狐狸(こり)鳥虫(ちょうちゅう)嬉々(きき)として身を太らし

人も又、その輪に連なる

ながめの月、
  雨は深山(しんざん)大沢(だいたく)(うるお)

清渓(せいけい)、常に流れの高さを変えず

人は種を蒔き、飯を炊き、茶を(すす)

 

夏中 陽の暑きは天の恵みにして

楢の大木に寄り掛かり

万巻の書を読み、

野栗鼠と共に胡桃を喰らい涼に(まど)

 

遠来の友来たれば 酒を勧め

楽を所望し、共に笑い共に涙す

酒は五体を洗清し涙は心を洗う

秋色 天は青く地は丹く、

赤松の森 菌根の傘を養い

収穫大地を覆う

秋風 常に蓬莱(ほうらい)の気を運び

衆鳥高く飛んで尽き

落日の(うれ)いを運ぶ

秋夜 天界の星々は指先に留まり

悠久の門に誘いて忘却を促す

秋霜 清涼なる大地は息を吐き始め

枯れ葉の道、

色とりどりに層を成し

野兎の急ぐ足音,

滑稽にして心踊らす

丹青の地は雪国にして

雪の白きは落筆の前 白紙の如く

創世の日 安住の地を約束する

彼の地 人は雪の柔らかさに親しみ

雪の冷たさを敬う

その大寒に感謝し

五臓を休め精気を養う

清々として日月は巡り来て去り

春夏秋冬の天折をもって

桃源の郷、正を表す

 

ここ丹青の地、華胥氏の国にならう

清山に望みて花木の丘に山居営み

炉には常に湯を(たぎ)らし

来たる者は迎え、去る者は送る

 

時の者、石門に立禅し頭を垂れて

その驕りを冷やし 傷心の者

此処へ来て唯々眠れ

ここは丹青の地

華胥氏の国にならう地なり

 

 

           丹青老人詩