







ここ丹青の地 華胥氏の国にならう
来訪告げし者 照顧脚下せよ
門前にただ独り立禅し
石段の一を見つけよ
喜怒哀楽の衣を脱ぎ捨て、
無為自然の黒き土で
その足を暖めよ
富める者は、
財貨を惜しまず片碗を求め
貧しき者は、
天地の間 律を知り感謝せよ
強き者は高き山に登りて後に下り
弱き者は山の高きを忘れ
その一歩を進めよ
賢なる者は知を捨て
その険を取り去り
愚なる者は呵呵として
その徳を用いよ
才ある者はその矛先を錆らせ
長寿の深きを知り
鈍なる者は才ある者の生を助け
国をおさめよ
ここ丹青の地 華胥氏の国にならう
深山幽谷 四季のうつろい
まさに妙なり
春風 山桜の白きは葉の緑に和し
散り往く様 空に文様
花然えんとす
裏山の山菜 無尽蔵にして
狐狸・鳥虫嬉々として身を太らし
人も又、その輪に連なる
ながめの月、
雨は深山大沢を潤し
清渓、常に流れの高さを変えず
人は種を蒔き、飯を炊き、茶を啜る
夏中 陽の暑きは天の恵みにして
楢の大木に寄り掛かり
万巻の書を読み、
野栗鼠と共に胡桃を喰らい涼に惑う
遠来の友来たれば 酒を勧め
楽を所望し、共に笑い共に涙す
酒は五体を洗清し涙は心を洗う
秋色 天は青く地は丹く、
赤松の森 菌根の傘を養い
収穫大地を覆う
秋風 常に蓬莱の気を運び
衆鳥高く飛んで尽き
落日の憂いを運ぶ
秋夜 天界の星々は指先に留まり
悠久の門に誘いて忘却を促す
秋霜 清涼なる大地は息を吐き始め
枯れ葉の道、
色とりどりに層を成し
野兎の急ぐ足音,
滑稽にして心踊らす
丹青の地は雪国にして
雪の白きは落筆の前 白紙の如く
創世の日 安住の地を約束する
彼の地 人は雪の柔らかさに親しみ
雪の冷たさを敬う
その大寒に感謝し
五臓を休め精気を養う
清々として日月は巡り来て去り
春夏秋冬の天折をもって
桃源の郷、正を表す
ここ丹青の地、華胥氏の国にならう
清山に望みて花木の丘に山居営み
炉には常に湯を滾らし
来たる者は迎え、去る者は送る
時の者、石門に立禅し頭を垂れて
その驕りを冷やし 傷心の者
此処へ来て唯々眠れ
ここは丹青の地
華胥氏の国にならう地なり