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       隠秋

風青く浮雲(あか)く みずならの 

落ち葉蕭蕭(しょうしょう) 赤土(せきど)を隠し

安代の森に大河無く
 大地に深く大河を隠す

水脈、無辺、泉、千年の(いにしえ)を隠し

秋草(しゅうそう)花木(かぼく)(りん)として積む者無し

猛獣声無く、狐狸(こり)鳥虫(ちょうちゅう)牙を隠し

マタギの山に霜雪(そうせつ)無く 

囲炉裏(いろり)に祀り鉄砲隠す

天台の郷 都無く 
  漆の丘に帝を隠し

里に富者無く貧者無く
     山懐に財宝隠す

在りし日、

丹青の地、友来たりて山居賑わい

彩雲の間 栗の(たく)() 酒盃で覆う

君の(がく)秋風(しゅうふう)(いざな)い 

吾、光陰に乗り山を忘れる

友に妻無く 吾に稚児(ちご)無く

暮れ(まど)う秋の落日(うれ)いを隠す

 

七か七晩、風青く
      浮雲丹く想い清く

酒宴の丘に横臥して

天下を論じ、いまだ夢を忘れず

清渓を敬い 律呂(りつろ)の流れに感謝す

友去りし日 天に雲無く涙を隠し

吾、手を振る君の背に名を呼ばず

共に旅を求むる想いを隠す

 

人の乗る船は神の船にあらず

川を下るも上らず、

友ありしも乗船を許されず

ただ大海に出でそれぞれの岸に

漂着するを知る

 

人の乗る船は神の船にあらず

川を下るも上らず

大海に出でそれぞれの岸に漂着す

帆も無ければ舵も無く、
    舵があっても役立たず

帆を張りしも風吹かず

清き流れを求むる者が
       清渓を独り下る

 

友ありしも乗船を許されず

ただ妻となる()を抱き寄せ

共に支え合うがやっと、
      子も又、友に同じ。

深山(しんざん)大沢(だいたく) 
        律呂の流れは天地が織り成し

天地の調べは神が奏でる

神は大海の岸辺に色とりどりの(はな)()き詰め

虚舟(きょしゅう)(いざな)うが楽しく 

人は去留(きょりゅう)に任せ神をもてなすが

心安らかなり

 

風いまだ青く浮雲流れ空を去り

山 独り丹く(たたず)み 

吾、丹青の丘
   栗の卓子溢れる酒盃を隠す

ふたたび山に望みて
ふたたび酒盃を隠す

夕麗(せきれい) 浮雲(ふうん)を隠し 
          懐道(かいどう) 友を隠し

吾は、(ふところ)深く酒盃を隠し

安代の森 秋を隠せり

 

 

      丹青老人詩